Ukulele Sight
はなこさんタイトル・バー
<第6章8話>

ジャカソロ本:カマテツ

収録曲

メヌエット〜ラヴァーズ・コンチェルト J. S. BACH
ユモレスク
F. F. T. ( Five Foot Two, Eyes of Blue )
世界は日の出を待っている
鉄腕アトム〜サザエさん
星条旗よ永遠なれ
交響曲 第9番(合唱付き)BEETHOVEN
花祭り
コンドルは飛んで行く
聖者の行進
クレイジーG(ヴァージョン1)
クレイジーG(ヴァージョン2)
大きな古時計(カントリー風)
大きな古時計(ハワイアン風)
双頭の鷲の旗の下に


Photo by coba

2005年09月、満を持してというべき画期的な楽譜集が出ました。名人カマテツのウクレレ一本勝負!!とサブタイトルが付いた「究極のウクレレソロ・ジャカソロ」CD付きで中央アートから定価¥2500で発売されました。

この大偉業はお買い得感バリバリということで、特筆は2点。
 第一に、ウクレレ奏法で最も派手でしかも楽しい演奏法であるコード・ソロ、別名ジャカソロを音楽的に解説したことに有ります。3連符や16分連符を活用し、俗に言うバトキン奏法(半拍を3連する)などのコロコロと鳴る軽やかな音色を紹介し、ウクレレでよく使うロール・ストローク、ギターなどで使われるプリング、ハンマリングなども演奏解説として楽譜と共にCDで収録。さらに掲載曲に沿って基本的テクニックが細かく解説されています。これによって目と耳から体感的に習得できます。・・・といっても結構難しいんですよね。

 第二に、いまどき音楽CDを買ってもそこそこの値段がします。しかし、ここで付属するCDの模範演奏は、まるでプロの演奏家でも裸足で逃げ出してしまうばかりの見事さです。 それこそプロ演奏家で本当に逃げ出す人がいそうです。勿論カマテツさんの演奏は多彩で、ジャカソロ専門というわけではないのですが、僕のようにジャカソロ好きには堪えられません。通常ウクレレのCDを購入しても演奏方法のひとつであるジャカソロ(コード・ソロ)は収録曲の1曲もしくは2曲程度有ればましな方です。アルバムの趣旨によってはまったく含まれていません。もちろん演奏家の渾身のアルバムで自らの世界を構築するために構成されているのですからジャカソロ(コード・ソロ)を望むことやまして全曲を望むのは無理があります。しかし、このCDでは最高のジャカソロを余すところ無く堪能出来ます。しかも曲によっては自分でもやれば出来そうに聞こえるから怖いのです、まるで中毒です。あんなふうに弾けたらいいなといつも思います。

さらに驚いたことに、カマテツさんからこのCDは自宅録音であると聞きました。ウクレレに限らず、練習には「鏡を見ながら演奏する」、「録音」、「録画」によって自分自身をチェックする事が自分の演奏を知る機会となり、さらに自分の演奏を聴いてみることが練習の手助けとなります。添付CDは自宅録音と思えない仕上がりなので、読者が自宅でも気軽に高品質の録音が楽しめるかも知れないと考え、ご本人にインタビューをお願いしましたのでご参考下さい。

 余談ですが「おらハードボイルドだど!」のギャグで有名なトリオ・ザ・パンチの内藤陳の著書にハードボイルド小説の紹介本で「読まずに死ねるか」という名作があります。ウクレレにも優れた著書はたくさんありますが、渡辺直則先生の「ウクレレ弾こう」についで、買わずに死ねない名作となりました。僕個人的には表紙の撮影させて頂くことが出来たことはカマテツさんに感謝です。


 <カマテツさんへのインタビュー>                 
質問:使用したウクレレは?
「マーチン・コンサート」
「Gストリング・テナー」(弦長はテナー、ボディはコンサートのもの)です。
質問:ウクレレを使い分けた理由があればお聞かせ下さい。
マーチンコンサートは12フレットまでしかないので、13フレット以上を使用するアレンジの時は、14フレットジョイントのGストリングテナーを使用しました。ライブの時は12フレットしかなくても、無理矢理やっちゃう時も曲によってはありますけどね。

質問:それぞれのウクレレの弦も教えてください。
マーチンコンサート、Gストリングテナー共にナイルガットを使用しました。今はマーチンはヒロですけどね。何故かその時はナイルガットが気に入ってました。

質問:マイクは?
コンデンサーマイク「AKG-C2000B」、アンプは使用していないです。
設置はウクレレのサウンド・ホールに近づけたり、1m位離したりいろいろな録り方を試しましたが、その度に音はかなり違い音質にまで反映されますので一番良いと感じた場所を探りながら録りました。

質問:録音機材は?
MTR(マルチトラックレコーダー)「KORG-D1200」を使用しています。
録音はスイッチは、MTR側で、セット・オン、オフです。

質問:MTRでのエフェクターなどは特に入っていないのですね。
D1200はどれかを選ばなくてはならず、単に生音って設定が出来ないような気がします。(僕が理解していないだけかもしれませんが)、soft compってのがかかってます。あと、マイクはコンデンサー系のマイクの絵が出てるツマミのところで録りました。

質問:録音時の留意点
シールドを使っての録音も試みましたが、なかなか気に入る音にならなかったもので、全て生録にしました。ウクレレは音が小さいので、腕の肘あたりの肌がボディに触れてる部分が、ちょっとした際に離れる時に出る音とか、鼻息もマイクで拾ってしまうので、NGが沢山でました。息を殺して弾く感じ?(^0^)

質問:録音環境?
今回は、精神的なものやスケジュールの関係で(軽量鉄骨のマンションですが)自宅録音に挑戦しました。気に入ったテイクが出来るまで演奏を吟味できましたし、自宅録音も考えていたより良いものができましたので、皆さんにも是非オススメします。自分の演奏がどのように聞こえているかを自分で確認することができますので上達への早道かもしれませんね。

質問:1曲収録に何回くらいのテイクを要しましたか?
アレンジも何度も手直しして変わりましたし、企画時に提出したCDも含めると数え切れない位、録音しています。自宅での録音ではありましたが、夜中は弾けないし時間に制限もあったりで、うまくいったテイクで3回〜5回位の中からチョイスしました。外部雑音を含んだテイクを含めると数え切れない程、取り直しはしています

質問:録音時のエピソードなど
ラインでなく生音での録音は、雑音との戦いでもあったりしますかね。近所に公園や小学校があるので、野球部や催し物等の掛け声が聞こえてくるので、その合間をみての録音、ってことになります。雨の日は車が通る音だけの音がハッキリ聞こえるので避けました。
 一番キツカッタのはやはり、バイクの音でしょうかね。さぁ、「1,2,3,4〜」で始めたとたん、バイクの音が入ったり「よし、上手く行った!」と思った瞬間に、「ブゥィーン」という音が入っちゃった事が何度もあります。(^0^) 救急車のサイレンやジェット機の騒音で中断されることがよくありましたが出版社側の要求は多少の雑音もライブ感があっていいのでは、とのことだったんですけど、僕はあまりそういう録音を聴いたことがなかったし不安があったので、やはり雑音のない音作りを心がけました。

質問:製作にあたって苦心や苦慮したこと
楽譜と録音した音とが合っていなければいけない、という要求があったので、アレンジした楽譜を見ながらの録音になり、楽譜に忠実に演奏するよう心がけました。先に録音したものを楽譜にするといいようにも思えますが、楽譜の方は浄書屋さんの方へ先に渡して作業に入ってもらわないと、出版も遅れるので先に楽譜を提出しました。

質問:出版後の心境や環境の変化など
出版前は売れなかったらどうしよう、とか考えてましたが、今のところ順調に売れているようなので、一安心といったところです。特に環境の変化みたいなものはないですが、仲間が出版記念ライブやパーティーを開いてくれたので嬉しかったです。

質問:その他何でも・・・、読者へのメッセージや思いついたことなど
今回の楽譜は僕(カマテツ)の演奏スタイルを楽譜にしたものなので、皆が全員、まったく楽譜通り同じに弾く必要はないですし、それぞれ自分の弾きやすいように、或いは好きなアレンジに変えて練習するのも面白いのではないでしょうか。この本がますます今後のウクレレの発展につながってくれればと思います。

質問:最後に、ジャカソロという言葉の命名者をご存知ですか?
誰でしょう?わからないです。
インタビューここまで


ジャカソロとは
 これまでは音楽業界では一般的に「コード・ソロ」という呼び方がされていたようです。ジャカ、ジャカとコードを弾きながらソロを弾く。もちろん第1弦でメロディーが取れるようにKeyを換えたり、コードフォームやコードアレンジなども工夫し、ピッキングなども取り入れ、多彩なストロークによって、よりリズミカルに演出するといった奏法です。オリジナル曲からのアレンジも含めた解釈として、よりダイナミックでスピード感に溢れた心弾む演奏方法であります。
  音源としては、 1940年代のアルバム「THE MAGIC UKULELE OB ROY SMECK」、やオータサンの1962年録音アルバム「LEGENDARY UKELELE」、♪「LOVER Tribute PERRY BOTOKIN Jr.」、1963年アルバム「A BEACHBOY PARTY」、♪「THE WORLD IS WAITING FOR THE SUNRISE」、♪「LOVER」など多数有りますが、さらに古く、ウクレレの歴史から言えば、1920年代にアメリカで起こったウクレレブームがあり、ウクレレはボードビリアンたちによって広く演奏されました。おそらくはその頃からコード・ソロ的な演奏法はすでに存在していたと考えてもおかしくは無いと考えます。

 1996年、このHPを作成し始めたには「ジャカソロ」という言葉はまだ存在していなかったと記憶しています。その後、1998年発売のジム・ビロフ氏によるビデオ「The JOY ofUKE」でトラビス氏の3連奏法が♪「Five Foot Two, Eyes of Blue」によって紹介されました。1999年にはウクレレ演奏家のIWAOさんが著書「マハロ・ウクレレ」では段級認定システムでこの曲を「1級」指定曲として「クレイジーG」を掲載。
  2000年、本HPで「クレイジーG」、その後、ウクレレ愛好家の間ではF.F.T.と呼ばれる「Five FootTwo, Eyes of Blue」などを完全攻略として紹介するなか、NUAをはじめ多くのサイトでも曲や奏法の紹介がなされました。その頃、関西発信で、オータサン演奏の♪「LOVER」を詳細に解明した白鳥さん命名による「バトキン奏法」(半拍を3連演奏する)が流行。オータサンは日本ウクレレ協会のワークショップで演奏法の質問に答えて「当事は、みんな真似したのよ」と答えています。同じくロイサクマ氏のワークショップでの質問にも奏法やストロークには特に呼び名がないというのが通例でした。
  一方関東では、まいたけさんが派手なコード・ソロで多くのウクレレファンを喜ばせてくれていました。2002年には天才演奏家ジェイク氏もCD「The Art of SoloUKULELE」以来「クレイジーG」はジャカソロでの定番の速弾きレパートリー曲となりました。おそらく2000年頃、誰が命名したかは不明ですが、すばらしいネーミングの「ジャカソロ」という言葉が生み出されたと考えています。


カマテツさんのHP
What a wounderful uke ! http://www5e.biglobe.ne.jp/~kam_UKE/

(2005/12/12 付記)


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