UKULELE CINEMA WORLD/UKULELE SIGHT/COBA STUDIO (本文敬称略)
「 ニッポン無責任野郎 」

ニッポン無責任野郎

原題:「ニッポン無責任野郎」 1962年 東宝 『無責任シリーズ第2作』86分
主演:植木等
製作:安達英三朗/森田信
監督:古沢憲吾
脚本:田波靖男/松木ひろし 撮影:飯村正 美術:小川一男
音楽:宮川泰
出演:ハナ肇、谷啓、犬塚弘、桜井センリ、安田伸、石橋エータロー、団令子、草笛光子、
   浦辺粂子、藤山陽子、中島そのみ、由利徹、世志凡太、人見明、ジェリー伊藤

主題歌:これが男の生きる道 
挿入歌: 無責任一代男、ショボクレ人生、ハイそれまでよ、ゴマすり音頭、のんき節


谷啓世志凡太
 この映画の舞台は楽器メーカー、楽器店というよりショウルームといった感じ。左写真の右の人物は谷啓
藤山陽子、世志凡太

 ウクレレなめのショットですがもう少しウクレレを見たい。右女性:藤山陽子、左:世志凡太

ウクレレに関して
あの幻の白いウクレレが登場。希望的観測に依りますと以前YAMAHAが白いウクレレを製造していたとか、いないとか、今となってはメーカにも資料がないと哀しいご返事で、人づてに聞いたことのあるYAMAHAの白いウクレレだと信じたいです。 サイドとネックが濃い色なので、60年代の米国製プラスチック・ウクレレにも見えますが、いくら安価だったとはいえ当時は入手が困難だったかもしれませんね。
ウクレレを演奏するシーンは出てきません。

植木等(クレイジーキャッツ)映画
1961年に始まった音楽バラエティ番組「シャボン玉ホリデー('61-'72)」に依って、ザ・ピーナッツと伴にレギュラー出演していたクレージーキャッツがコミックソングでの人気が一気に上がり、「スーダラ節(61)」「無責任一代男(62)」 などのヒットを受けて1962年に製作されたのが「ニッポン無責任時代」。この映画が予想以上のヒットとなり、「ニッポン無責任野郎」など以下に紹介するシリーズが始まりました。植木等は浄土真宗の寺の三男に生まれながら、一連の役どころは当時では都市生活者として憧れの職業?そして重責と悲哀を背負うサラリーマン社会を、口八丁、手八丁 、無責任、悪のりC調キャラで、スイスイ調子よく出世成功してしまうというストーリーです。「モーレツ社員」という言葉が生まれたこの時代に皮肉を込めたテーマを軽快でエネルギッシュ、しかもハチャメチャに演じきります。植木自身にとっても悪人正機説を逆手に取ったような役柄だったのかもしれません。浄土真宗の親鸞聖人も歎異抄を持った唯円を担いで裸足で逃げ出しそうです。
また、後年は個性派俳優として実に素晴らしい演技と存在感をみせています。
平成不況の真っただ中の今、元気を無くしたお父さん、この映画でたっぷり活力をもらってください。

製作当時の年間2〜4本の興行は森繁久弥・小林圭樹の「社長シリーズ(56〜)」、加山雄三の「若大将シリーズ(61〜)」などと共に経済高度成長期の象徴的映画です。興行的には「怪獣シリーズ」などと同じく東宝のドル箱路線映画でした。
 ●「無責任シリーズ」   1962年〜1964年まで合計4作がシリーズ化される。
 ●「クレイジー・シリーズ」1963年〜1970年まで全14作が製作される。
 ●「日本一の〜男シリーズ」1963年〜1971年まで全10作が製作される。

「C調」= 調子が良い人。軽いこと。
初めてこの言葉を耳にしたのはサザンオールスターズ「C調言葉に御用心」でしたがこの映画でも「あなたってC調ね」なんていうセリフでふんだんに使われています。元々は「調子のいい人」という意味で、業界の隠語として「おんな」を「なおん」、「ジャズ」を「ズージャ」などと言った「逆さ言葉」からきているようです。
「調子いい」→「ちょう し いい」→「しいい ちょう」→「しいちょう」、
これに音楽のKey=C、C調(ハ長調)曲の明るい調子から「C調」の表記になったそうです。

植木等(うえき ひとし) ギター、ボーカル 、俳優
 戸籍上1927年2月25日(実生年月日1926年12月25日)
 三重県多気郡宮川字栗谷、浄土真宗常念寺住職三男として生まれる。
 1954年フランキー堺「シティ・スリッカーズ」1957年ハナ肇「クレージーキャッツ」
 1958年「光子の部屋」1959年「おとなの漫画」1961年「シャボン玉ホリデー」
 1966年:ブルーリボン大衆賞を受賞。
 1986年「新・喜びも悲しみも幾年月」キネマ旬報助演男優賞、
      日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、毎日映画コンクール助演男優賞受賞。
 1991年:ゴールデンアロー賞話題賞、「スーダラ伝説」日本レコード大賞アルバム賞受賞。
 1993年:紫綬褒章を受章。
 1999年:勲四等旭日小綬章を受章。

「宇宙戦艦ヤマト」と「ザ・ピーナッツ」
宮川 泰(みやがわ・ひろし):音楽担当
クレージーキャッツ映画のほとんどを担当していますが、ザ・ピーナッツの育ての親で「ふりむかないで」、'63年日本レコード大賞編曲賞「恋のバカンス」、「銀色の道」、'64日本レコード大賞作曲賞「ウナ・セラ・ディ東京」の作曲、布施明、クレージーキャッツ、伊東ゆかり、園まり、などの60年代歌謡曲ヒットメーカー。1974年の「宇宙戦艦ヤマト」主題歌を作曲以降はアニメシリーズ担当の他に「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」が人気を呼びアニメ映画サントラの先魁となる。指揮、アレンジ、TV番組音楽監督や出演も多数。

おまけ
 さてあなたは何曲唄えますか?(唄:植木等 作曲:萩原哲晶  作詞:青島幸男)
 日本歌謡曲史上に燦然と輝くクレージーキャッツの伝説的大傑作コミックソング。

無責任一代男
 
 おれはこの世で一番 無責任と言われた男 
 ガキの頃から調子よく 楽してもうけるスタイル
ハイそれまでョ
 あなただけが生きがいなの お願い お願い すてないで 
 テナコト言われて ソノ気になって 三日とあけずに・・
これが男の生きる道 
 帰りに買った福神漬で 一人淋しく 冷飯喰えば 古い虫歯が またまたうずく 
 ぐちは云うまい こぼすまい
ショボクレ人生
 バーやキャバレーじゃ 灰皿盗み 他人の残した ビールは飲むし 
 焼鳥食べれば 数ごまかして
スーダラ節
 チョイト一杯のつもりで飲んで いつの間にやら、ハシゴ酒 気がつきゃ、
 ホームのベンチでゴロ寝 ・・・・・・

如何ですか? お呼びでない?こりゃまた失礼しました。

(2002/11/08)



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