Ukulele Sight 2000年プレミアム企画:特集記事
第1回「 建築物ウクレレ化保存計画」
2000年 7月4日〜16日 京都「ヴォイス・ギャラリー」

voice2000年 7月4日〜16日
京都「ヴォイス・ギャラリー」 にて伊達伸明さんの「 建築物ウクレレ化保存計画」と題された展覧会が催されました。 また、7/9(日) には、伊達さんの製作したウクレレによる演奏会も開かれ、大変な盛況でした。たいへんユニークで興味深いこの「 建築物ウクレレ化保存計画」をご紹介いたします。

「 建築物ウクレレ化保存計画」とは、人の暮らしと深く関わった建築物、その廃材を使いウクレレとしてその想いを蘇らせようという計画です。

伊達伸明今はなき建築物がより親しみやすい形に姿を変えて、新しい生活空間で再び歴史を刻み始めます。さまざまな可能性を持つこれらのウクレレはきっとステキな改築記念となるでしょう。』 ( 建築物ウクレレ化保存計画案内より)

京都市立芸術大学で「漆(うるし)」を専攻し、在学中から漆を使ったアート作品を発表してきたが、建築学に対する興味も深く、「空間アート」的な作品や音を介して鑑賞者を引き込む「サウンド・アート」なども展開。今回の企画はアーティストの一方的な表現ではなく、素材となる廃材に人の思い入れや歴史が刻まれており、他者との関わり合いの中からの作品作りが、これまでにない充実感と喜びを感じると語ってくれました。語り口といい表情といいとても優しさの溢れる方で、「建築物」という少々堅いイメージと「ウクレレ」というのほほんイメージが伊達さんの人柄で見事に結び合わされ建築物に対する思い入れが優しく暖かなウクレレに包まれて生まれ変わる。見事な新しい形のサウンド・アートでした。 「 ヴォイス・ギャラリーHP


 

 

 



 展 示 
展示真っ白に塗った部屋に一台づつ展示するスペースを深緑色に塗り分け、壁から突き出したアームにウクレレを展示するという形式。壁に小さな鏡が付いておりウクレレの裏面 を見ることができる。下方にはウクレレの素材となった建築物の在りし日の写 真とウクレレの材料説明やコメントが記されている。
下の写真は、「ときわ温泉」正面、番台、男湯引き戸。
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 演奏会 

演奏会 説明この展覧会の会期中の7月9日(日)には、伊達さんの友人たちとウクレレによる演奏会が行われました。展示してあるウクレレの説明を兼ねて一本ずつ順に弾いていきます。それぞれ「♪この木なんの木」の替え歌からはじまり、「このウクレレの木は明倫小学校の廊下の木です」と伊達さんのウクレレの由来説明が入ります。ハワイアンや童謡など演奏も楽しかったですがやはりウクレレも見事な音を奏でていました。

ウクレレに関して  伊達 おとこ
拝見するまでは、さすがに材質のことを考えると楽器としては多少の難点が有るのではと思っていましたが、「これ弾いてみてください」と差し出されたウクレレを持ってみて、まずビックリ!、とても重い。弾いてみてビックリ!、とてもよく鳴る。その辺のがらくたウクレレなんて目じゃありません。「裏を見てください」と言われて、またまたビックリ!、ガラスが張ってありました。このウクレレは「ときわ温泉」の男湯の引き戸に使われていたガラス。しかも今の時代となっては貴重な製法のガラスです。往事の赤い文字で「男」と書いてある部分をそのまま使っていました。これでは重いはずです。これは一例ですが、敢えて厚い塗装や表面 を削ることをせず、もとあった状態を最大限生かそうと工夫されています。そのため、家を建て替える決意に至った製作依頼者個々の事情や愛着を考慮し、想い出の深い「シールが張ってあった部分」や「柱の背丈を刻んだチョークの跡が残る部分」が材料として選ばれています。

形状は、たとえていうなら「枇杷(ビワ)型」。「サニー・D」ブランドなどで見かける他はウクレレでは珍しい形、伊達さんのウクレレは、通 常のパイナップルスタンダードサイズよりひと回り小ぶりで、16フレットで14フレット繋ぎのロングネック・スタンダード。フレット金具はウクレレ用サイズのものを使用。ヘッドとネックの形状や繋ぎ方は、材料となる素材形状によって異なっていました。

楽器としての音作り
ボディーに関しては、廃材の表面の状態(キズや装飾)を残すため板や柱をある程度切り出し裏から削っていく方法で、材質によって千差万別 の堅さがあり、どの厚みが最適なのか、力木の位置など手探りで音を探していくそうです。 楽器作りのための専用工具も使うそうですが、製作のための工具や治具なども手作り。伊達さんご自身もキーボードや弦楽器を演奏される方なので製作されるウクレレも楽器としての音色と音程には十分注意されていらっしゃるようです。ブリッジのコマは弦によって、細かい調整がなされていました。「最初の1本はまだ感覚がつかめなくて、あまり鳴らないんです。」と正直に話してくれた笑顔が印象的でした。

伊達さんが「自分の生き方を見つけた」と語るこの計画は、これからもますます多くの素晴らしいウクレレを生み出されていくことと思います。

「作品」 詳細写真

依頼の受付と伴に運営の寄付を募るお考えもあるようです。
問い合わせ先 =伊達伸明さん= FAX=06-6849-2802


 

 

 

 


 オマケ 

レレ・ウクレレそうめんウクレレ演奏会の後で拝見したウクレレ。もちろんこれは「建築物ウクレレ化保存計画」とは関係ありませんし展示もしてありませんが演奏会を見に来てくださった方たちへのサービス?に以前ご自分が製作したウクレレを見せて、 弾いてくださいました。

「左写真」は、まさにレレレのオジサン ・ウクレレ。裏にはマンガの原作者赤塚不二夫さんのサインも有り、ご本人もたいへん面 白がってくれたそうです。
「右写真」は、贈答品の「そうめん」 の木箱で作られたのも、演奏後のカンパ箱として活躍しました。



写真及び文章の転載はご容赦下さい。(text & photographs by Hiroshi Kobayashi )

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